ソフト選びで業務の負担は軽くできます

「サポート業務を担当する職員は、調布航空宇宙センターでは自分を含めて数名います。自身の研究と同時に業務を担当することになるので、なるべくトラブルの少ないソフトを選ぶ必要がありました。以前は職員が好きなパソコンをいわば、思い思いに買ってに使っていましたが、それではサポート業務が大変になってしまいますから、当時の航空宇宙技術研究所で事務用端末を取りまとめて貸し出すことになったのをきっかけに、ソフトもプリインストールすることになりました」
大川氏らがソフトの選択で重視されたのが、サポート業務の手間がかからない点でした。「当時、メールソフトとして Netscape を使っている職員がいたこともあり、使い勝手の良さやコストが軽減できること、そして今後のサーバ管理などを考えて Netscape Communicator 4.7 を使ってみようということになりました」
その後、2006 年に事務用端末の貸し出しが JAXA 全体で統一されることになり、当初、標準のメールソフトは Outlook Express が選ばれていたのですが、調布航空宇宙センターでは、以前から使い慣れているということもあり Netscape の実質的な後継製品である Thunderbird の併用を提案し、継続して使うことになりました。そのため、大きなトラブルや混乱はほとんどなかったとのこと。
「今年の JAXA 全体の端末の入れ替えの際には、Thunderbird が最初から標準のメールソフトとして選ばれたので、今後も安心して使っていけると思います」
万が一を考えて専門家とのサポート契約をしました

調布航空宇宙センターでは、今までにメールソフトに関するトラブルはほとんどないものの、万が一の対応がオープンソースの製品では難しいのではないのかという不安を感じていたところ、有償のサポート が受けられることを知り、依頼することにしたそうです。
「トラブルの対処は迅速さが求められますが、自分の業務もあるのであまり時間はかけられません。そこで Thunderbird に詳しい専門家として、Mozilla のサポートパートナーであるクリアコードさんにサポートをお願いすることにしました」
サポートの主な目的はトラブルへの対応だが、数としてはそれほど多くないことと、技術的なアドバイスを求めるケースも考えて、発生時ごとの対応がベースとなっています。
「最近では Outlook Express のメールボックスを Thunderbird に切り分ける際の方法をアドバイスしてもらいました。また、Thunderbird 1.0 から 1.5 にバージョンアップした時は、インストーラー形式での配布を行ったのですが、カスタマイズ設定をアドオンの形で提供できるようクリアコードさんに用意いただいたことがありました」
必要と思われるアドオンを追加した状態で配布しています

Thunderbird はアドオンの追加や独自の設定によりカスタマイズすることができます。JAXA で導入している Thunderbird は、英語のスペルチェックなどのアドオンがいくつか追加された状態で配布されているそうです。
「Thunderbird を使う職員自身がカスタマイズやアドオンを追加することもありますので、私たちにも『こんなことはできるのか』という質問が寄せられることもあります。そうした質問になるべく答えたいと思っていますが、私たちも専任ではありませんし、機能をすべて把握しているわけではありません。そうした場合に、Thunderbird についてはクリアコードさんに相談して、対応策があるかどうかだけでも教えてもらえるのは、非常に心強くて助かっています」
JAXA で働いている人たちは技術者が多いので、質問内容もかなり込み入った時もあるようですが、そうした場合も専門家からのアドバイスが役立っているということでした。
オープンソースと市販ソフトの差はどんどんなくなっている気がします

一般的に、オープンソース製品に対しては市販製品よりもサポート体制があやふやだという声もありますが、「オープンソースでも機能は市販ソフトと比べても遜色がないものが増えていますし、サポートを受けることだってできます」と大川氏。Thunderbird が今までセキュリティも含めて大きなトラブルがなかったことも、オープンソースへの信頼性につながっているのかもしれません。
「理系の研究職の集まりで、情報リテラシーは一般企業に比べると高いほうなので、オープンソースだから不満や不安を感じるというのがあまりないのかもしれません。ソフトに関する情報量も市販ソフトとオープンソースとではそう変わらないので、純粋に機能そのものや安定性でソフトが選ばれるようになっていくと思います」

