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Mozilla のパワー

2016 年新年によせて、Mozilla Corporation の Chief Legal and Business Officer である Denelle Dixon-Thayer が12月に投稿したブログ記事 "The Power of Mozilla" の抄訳をご紹介いたします。


今日は Mozilla のパワーについてお話ししたいと思います。Mozilla の活動はコンシューマー向け製品の提供にとどまりません。Mozilla にとって成功の判断基準となるのは、製品がユーザに受け入れられたかどうかということだけではなく、人々がオンライン生活をコントロールする権限を強化することができたか、Mozilla の Web 技術が Web に影響をもたらせたか、標準技術に貢献できたか、ユーザの皆さんが求める Web の保護のために、どんな活動ができたか、といったことも考慮しています。

Web 技術

Mozilla は以下のように Web のエコシステム全体にメリットをもたらす技術を開発しています。優れたオープン技術をすべてのブラウザがサポートしてこそ、Web にメリットがもたらされると Mozilla は考えています。

  • 私たちは、asm.js、WebAssembly、SIMD などの技術によって JavaScript の機能を拡張し、Web を支えるという Mozilla の重要な役割を行動で示してきました。すべての主要なブラウザベンダーが asm.js による最適化をサポートしており、WebAssembly もサポートする予定であることを発表しています。
  • Mozilla は Web 上で 3D グラフィックスを表示するための標準仕様である WebGL を開発し、現在は WebGL2 の開発に取り組んでいます。WebGL2 には数々の改良や機能が追加される予定であり、開発者は Web 上で目を見張るようなビジュアルを作成できるようになります。世界で最も優れたゲームエンジンの 1 つである Unity は今週、WebGL を正式なサポート対象のプラットフォームとして採用しました。Mozilla が開発した asm.js の導入が広がっている状況について、詳細はこちらをご覧ください。
  • Mozilla は、Web 上でリアルタイムのコミュニケーションを可能にする WebRTC 仕様の策定に重要な役割を果しました。WebRTC ではデフォルトでセキュリティが確保され、無料でオープンな実装が可能であるという事実は、Mozilla が及ぼした影響をよく示しています。
  • Mozilla は Cisco と共同で OpenH264 を開発しました。これにより、世界で最も広く利用されている (ただし特許取得済みであった) ビデオコーデックを、オープンソースプロジェクトにおいて無料で使用できるようになりました。現在私たちは、完全に無料の次世代ビデオコーデックである Daala の開発を進めており、これを標準仕様にすべく、IETF に提出しました。
  • Web の将来には優れたパフォーマンスとセキュリティが必要であることを Mozilla は理解しており、Rust という新しい言語の開発を進めています。Rust は安全で並列性に優れた言語であり、C++ で書かれた既存のブラウザを悩ませてきた多くのセキュリティ問題から解放されます。Mozilla はこの言語を使用して、Servo という次世代のレンダリングエンジンも試作しています。
  • より多くの人々がバーチャルリアリティのコンテンツをもっと簡単に作成できるようにするため、Mozilla は A-Frame を構築しました。これは「VR Web 向けビルディングブロック」のライブラリです。これを使用すると、開発者は WebGL の知識がなくてもシンプルなマークアップによって応答性に優れた VR 体験を作成できます。私たちは、A-Frame を本年末までに公開できることを大変うれしく思っています。(参考: 12/16 公開済み)

Mozilla が現在進めている Web プラットフォームの詳細については、Mozilla のプラットフォームエンジニアリング担当 VP 兼暫定 CTO、David Bryant の最近の投稿記事をご覧ください。

セキュリティとプライバシー

Mozilla は、インターネット上での個人のセキュリティとプライバシーは基本的なものであり、オプションとして扱うべきではないと考えています。この 1 年間、私たちはより安全なオンライン体験を構築するために多大な貢献をしてきました。

  • Mozilla は、Web 上のすべてのサイトにおけるセキュリティの確立を目指して、新しい認証機関 Let's Encrypt を共同設立しました。
  • Android 版 Firefox は、フィッシングとマルウェアの防止機能を備えた初めてのモバイル Web ブラウザとなりました。
  • Mozilla はインターネットプロトコルの設計と開発で重要な役割を果たしています。最近では、さまざまな関係者と協力して HTTP/2 の開発と設計に取り組みました。HTTP/2 は Web にパワーをもたらすプロトコルの新バージョンで、高速化とセキュリティの強化を図ったものです。
  • 従来のビデオ会議システムでは、会議サービスの提供者がユーザの通話を傍受することができます。そこで、Mozilla は他の IETF メンバーと協力し、世界初となるエンドツーエンドのセキュリティを備えたマルチユーザ対応のビデオ会議システムを開発するため、先頭に立って取り組みを進めています。

スノーデンの一件があった後の時代においては、引き続き自由でオープンなインターネットを維持するために、上述のような技術の進歩が必要であると Mozilla は考えています。

ポリシー

Mozilla のポリシーチームと Mozilla コミュニティは、Mozilla のミッション、オープンなインターネット、個人のセキュリティ、個人の Web 体験に対するコントロールについて支持を表明するため、法律や規制によってユーザの権利を擁護するなどの活動を通してグローバルな問題に取り組んでいます。

  • オープンなインターネットへのアクセスは、個人にとっても革新を目指す人々にとっても、不可欠なものです。2014 年に米国でネットの中立性を維持する厳しい規制が採択されたとき、Mozilla は重要な役割を果たしました。また、ペルーヨーロッパ、インドでネットの中立性と zero-rating (ユーザにとって通信料無料のサービス) をめぐる議論が生じたときも Mozilla はグローバルに取り組み、この問題に関するレターをインドのモディ首相宛に送付しました (詳しくは、私の投稿をご覧ください)。
  • 世界各国で政府の行き過ぎた監視に対して、Mozilla は積極的に闘ってきました。例えば、米国での米国自由法の可決の支持、英国、カナダ、フランス、ドイツ各国の監視改善に対する賛同、ニカラグアなど他国の Mozilla コミュニティのサポートなどはその一例です。先ごろ、Mozilla は監視に関する 3 原則をリリースし、行き詰まりがちな議論について新しい考え方を示しました。
  • 昨年のブラジルでの Marco Civil 法案可決にも、Mozilla は大いに関与しました。この法律は、インターネットの使用に関してブラジルの個人、政府、企業の原則、保証、権利を明確に定めたものです。詳しくは Norberto Nuno Andrade の投稿記事をご覧ください。
  • この他にも Mozilla は、米国の特許改革、南アフリカのサイバー犯罪、ヨーロッパの著作権改革グローバルでユーザ中心の視点によるサイバーセキュリティなど、さまざまな国々の多くの課題に対して自らの姿勢を示してきました。

開発者

Mozilla Developer Network (MDN) は、オンラインで作業する Web 開発者にとって重要なリソースです。Mozilla は誰もが Web を活用できるようにするため、10 年以上にわたってこのリソースをすべての人に無料で提供してきました。昨年は初めての開発者専用ブラウザである Firefox Developer Edition を公開し、年間を通じてこのエディションの改良を進めてきました。

Mozilla Foundation

Mozilla は、Hive Learning Networks などの教育プログラムとツールの開発も行っています。Hive Learning Networks はオープンな Web の維持を目指し、次世代の人々がデジタルリテラシーのスキルを身につけて活用できるように支援します。私たちは、Mozilla Festival、Mozilla Developer Network、Mozilla Science Lab、OpenNews のジャーナリズムイニシアティブなど、多様で有能なリーダーたちが集まる場も設けています。インターネット上のセキュリティの脅威をより詳しく理解するための包括的な調査プロジェクトである Cyber Security Delphi も公開しました。また、Ford Foundation と協力して Open Web Fellows プログラムにも取り組んでいます。これは、Web を防御する能力を持つ技術リーダーの養成を目指すグローバルなイニシアティブです。

昨年は 10,000 人以上の Mozillian たちが、オープンソースの製品を多様な新しい言語に翻訳したり自由でオープンな Web を擁護するなどの活動を通して、あらゆる年代、あらゆる経歴の人々に、21 世紀の不可欠なスキルを伝授しました。

検索パートナー戦略

昨年、Google との検索契約が更新期限となったため、Mozilla は Google や他のプロバイダ各社との交渉を開始しました。どのプロバイダからも魅力的な条件が提示されましたが、Mozilla では 1 社をグローバルなデフォルトの検索パートナーとして指定することは、ユーザや Web にとってもはや適切な選択ではないと判断しました。その代わりに、国ごとに検索パートナーを選択するというよりローカルで柔軟なアプローチを採用し、新しい広範なパートナーシップによって選択肢を増やして Web の革新を進めることにしたのです。これにより、ブラウザ、Web サイト、サービス、データの扱いを結びつける機会が増えました。それは Mozilla のミッションを前進させて価値を高めることにつながります。こうしたアプローチにより、米国では Yahoo がデフォルトの検索オプションとなり、中国では Baidu、ロシア、トルコ、ベラルーシでは Yandex がデフォルトとなりました。

将来に向けて

Mozilla のミッションは、グローバルな公共のリソースであるインターネットをオープンで誰でもアクセスできるものにすることです。そうしたオープン性を実現するために、Mozilla がこれまで以上に闘うことが世界で求められています。Mozilla にはそのミッションを果たすパワーがあることを、この記事を読んだ皆さんに十分に理解していただけることを願っています。皆さんもぜひ Firefox をダウンロードしたり、ボランティアとして Mozilla の活動に参加してください。詳細は、mozilla.orgをご覧ください。

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