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データプライバシーデーに向けて、プライバシー意識調査と、データプライバシーについて考えるミーティングを行いました

皆さん、オンライン上でのプライバシーにどのくらい興味がありますか。Firefox や Mozilla の活動に興味をお持ちの方々は、プライバシーについて、比較的高い関心をお持ちではないかと思います。では、データプライバシーデーについては、ご存知でしょうか。

日本では、あまり知名度が高くありませんが、毎年 1 月 28 日は、データプライバシーデー (Data Privacy Day) だそうです。「データの守秘と保護に関する意識の向上と議論の喚起のための取り組み」として、米国・カナダ、および欧州 27 カ国で行われています ( 参考:データプライバシーデー・ジャパン ) 。Mozilla でも、この日をきっかけにして、プライバシーへの関心を高めていく活動をしています。例えば、インドの Mozilla コミュニティの発案で、プライバシーに関する Tips を TwitterFacebook に日替わりで投稿するといったオンラインイベントが行われています。

日本では、オンラインプライバシーに関するアンケート調査を行い、その調査結果を本日発表しました。さらに、2016 年 1 月 24 日に、Mozilla Japan オフィスにて、プライバシーに関するコミュニティミーティングを開催し、オンラインプライバシーの意識とリテラシー向上に向けて取り組むグループの立ち上げを行いました。

* Mozilla データプライバシーコミュニティ Google Group

以下、コミュニティミーティングについて詳しくレポートします。

さて、ミーティングに参加してくれたのは、Mozilla コミュニティのメンバーや Firefox 学生マーケティングコミュニティに加えて、メディアや広告の関係者、プライバシーに関する研究者から主婦・中学生まで幅広い層のメンバーが集まりました。今回の調査結果を元に意見交換を行うと共に、プライバシーに関する知識を伝えたり、関心を高めたりするため、どのような取り組みを実施するとよいかというテーマで、アイデアソン形式でディスカッションしました。多様な参加者のおかげで、幅広い意見とアイデアが集まりました。

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オンラインにおけるプライバシーに関するアンケート調査

最初に、Mozilla Japan の浅井智也が、ネットにおけるプライバシーと Mozilla の取り組みにについて、その概要を紹介しました

次に、アンケート調査の結果をどう見るかについて、参加者でディスカッションしました。このアンケート調査は、日本全国の10 代から 60 代以上までの男女を対象に、1,236 名の方に回答してもらいました。

普段の生活でのプライバシーとオンラインでのプライバシー

アンケートの結果では、「普段の生活の中で自身のプライバシー」については、「とても気にしている」「少し気にしている」という人の割合は 72.3% でした。そして、インターネットを使う時のプライバシーについては、「とても気にしている」「少し気にしている」という人の割合は、 77.6% でした。どちらの場合も、気にしている人がとても多いのですが、オンラインの方が少し割合が高くなりました。また、とても気にしているという人の割合は、普段よりオンラインのほうが 8 ポイントほど高くなりました。

実際に、ディスカッションでも、「お金やウイルス・いやがらせ・うっとうしい広告などを考えると、嫌なことから自分を守りたい意識が高い」のでは?というコメントや、プライバシーに関する研究者からは、「自分が過去に実施した別の調査でも、日本人は比較的プライバシーを気にかけているという結果が出ている反面、個人情報に対する意識はあるが実際の行動は追いついていない点が海外との差として出ていた」という意見が出されました。

プライバシー意識の高い領域は

各場面でのプライバシー意識とその対策では、金融情報の入力やウイルス対策については、「対策に自身がある」「対策している」を合わせて 60% 近い人たちが対策を行っていました。一方で、「気にしていない」「わからない」と回答した人が比較的多かったものは、「SNS のプライバシー設定」が 23.0%、「家族や他人との端末共有に対する対策」が 20.7%、「アプリのインストールやオンラインサービスへの登録する際のプライバシー対策」が16.5% となりました。

これに対して、参加者からは「意識が高い項目はセキュリティに関するもの」「それ以外の項目は、被害の内容が分かりにくい」といったコメントがありました。

行動追跡はされたくないが対策は知られていない

各ブラウザに履歴を保存しないプライベートモードについては、「知っている」が 23.1% でしたが、その中でプライベートモードを「利用したことがある」は 68.5% でした。このことから「プライベートモードについて認知が高くなれば、使う人も増えるのではないか」という意見が出ました。

一方で、多くの Web サービスが行っているオンライントラッキングについては、「知っている」が 33.9% でしたが、その中でトラッキング保護機能を「使ったことがある」は 22.2% となりました。これに関しては、「検索結果に応じて、他のサイトでも関連した広告が出ることから、追跡されていることは多くの人は気づいている」「トラッキング対策機能のことは、まだまだ知られていないのではないか」というコメントがありました。

世代よる違いと、データの種類による違い

この他に、「年齢や世代によって、プライバシー意識に違いがあるだろうか」という質問に対して「クロス集計を一部行ってみたが、例えば子供を持つ親は意識が高いといった結果は出ているが、全体として世代間で大きな違いは見られなかった」という説明がありました。

また、位置情報を利用するサービスについては、「女性は使いにくい」「高校生でも、投稿などするときに、自宅の近くの場合など状況に応じて一瞬考えてから投稿している」といったコメントがありました。

オンライン上でのプライバシー意識を高めるアイデアは

こういったディスカッションをふまえて、オンライン上でのプライバシーに関する知識を伝えたり、関心を高めたりするために、今後、Mozilla としてどのような取り組みを実施するとよいかというテーマで、アイデアソン形式でディスカッションを行いました。どのグループも、学生や大人・女性などが混ざっており、多様な視点を元にしてディスカッションが行われました。

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まず必要なのは、トラッキングに対する理解を助けること

最初のグループから出たアイデアは、「トラッキングに対する理解を助けることが、まず必要ではないか」というものでした。

自分たちは、どのようにトラッキングされているのか、充分に理解していないし判断が難しい。ただ感覚的に気持ち悪いと感じている。しかし、信用できる相手から何らかのメリットが受けられるなら、トラッキングを受け入れても良いと考えている。それを判断するためには、トラッキングについての知識が必要になる。そして、こういった啓発活動はトラッキングをユーザ体験向上に活かすサービスを実際に提供している事業者と一緒に取り組むのがよい、というプランでした。

プライバシー被害について、実はよく知らない

2 番目のグループから出たのは、スマホやインターネットの使い方を親から教えてもらうのでなく親に教える側に変わる時期と言われる高校大学世代の人達に、パソコンよりもスマホを中心にして、プライバシーについての教え方を教えたいというアイデアでした。そうすれば、家族や友人に、より広くプライバシー対策を伝えることができるからです。

トラッキングや位置情報など自分が気にするプライバシー情報と実際に利用するサービスに応じて、アプリやサービスの設定やブラウザの機能をプライバシーチェックポイントとして伝えるのが良いというアイデアも出ました。人によって守りたいプライバシーも異なるが、それぞれ個人の選択に応じたプライバシーチェックポイントを学んだり教えたりしやすくすることで、メディアリテラシーを高めることができるというプランでした。

具体的な対策ノウハウを一般の人に広めよう

3 番目のグループからは、プライバシーの危険性よりも、具体的な対策ノウハウについて伝えるのがよい、というアイデアが出ました。

アカウントやオンライン活動がトラッキングによって自分の意思に反して統合されることは避けたい。写真に日時や撮影場所の情報が含まれていることなどは知っていても具体的な危険性や対策まで理解している人は多くない。だから、具体的にプライバシーの問題になり得る場面の例とそれに対する対策をセットにして SNS で発信したり、一般の人にも伝えられるよう紙の冊子を配布したりするのが効果的だ、というプランでした。

プライバシーの危険性を体感してもらう

最後のグループからは、ネットの入口に立っている人たち、これからインターネットを使っていく小学生や中学生をターゲットにして、親子のためのワークショップなどを開催してはどうかというアイデアが出ました。

通常の座学だけでなく、ワークショップ当日の来場時に、スマホを使って参加登録をしてもらい、その登録情報に基づいて、参加者のプライバシー情報を紐付けて見せるデモを行うことで、オンラインでのプライバシー漏えいの可能性を参加者に体感してもらった上で、学んでもらうというアイデアもありました。さらに、そういったワークショップからのフィードバックを元に、オンラインプライバシーの動画コンテンツや 3DS アプリなど、多様なコンテンツを提供していくとよい、というプランでした。


日本では、スマホ登場よりも早い段階で、携帯電話によるネットサービスが普及しました。セキュリティに関連した事故や犯罪に対するニュースなども増えてきています。そのために、ネット上でのセキュリティ意識は、それなりに高いものになってきているのではないかと思います。

一方で、今回のコミュニティミーティングに参加した、比較的意識が高いメンバーであっても、プライバシーとなると決して知識は豊富ではなく "トラッキングは、気持ち悪い感じがする" といった声が上がっていたのが印象的でした。

Mozilla ではインターネットの利用者が自らの意思でオンラインプライバシーをコントロールできることを目指していますが、まずはデータプライバシーについての正しい理解を深めることも大切だと感じました。

今回のアンケート調査では、日本国内を対象にしたものでしたが、世界各地と比較して、どのような違いがあるのか、大変に興味深いところです。このデータプライバシーデーやその後の活動により、より多くの人が自身のプライバシーとそのコントロールについて意識を高めてくれる良い機会になればと思います。

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日本のMozilla コミュニティでは、今後もオンラインプライバシーに関する意識向上のための活動についての議論を続けていく予定です。こうした活動に関心がある方は、是非、こちらの Google Group にご参加ください。

追記: なお、今回、議論に参加してくれたFirefox 学生マーケティングチームも当日の様子をチームのブログでレポートしてくれましたので、よろしければこちらの記事もご覧ください。

参考情報:

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